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今回は久しぶりにスーツのディテールに戻りたいと思います。

その昔、「唐獅子牡丹」とか「龍虎」とか、学ランの裏地はステータスの一つでしたよね。実はスーツの裏地も色々と選べたりします。
さすがにビジネスで「龍虎」は無理ですが、チェック柄やストライプ柄、花柄や小紋柄など、色柄は表地と同じくらい多彩です。

uraji.jpgスーツの裏地と言えば「キュプラ」が代表的で、旭化成の「ベンベルグ」という商品が有名です。このキュプラはコットンリンターという、綿の種子に生えている短い繊維を主原料とした再生繊維で、柔らかく絹のような光沢と風合いがあります。
同じ再生繊維のレーヨン(こちらは木材パルプが主原料)に比べ、引っ張りや摩耗などの耐久性に優れているため、裏地に適しているわけです。
ただ、キュプラは「水」に濡れると非常に弱く、縮みや風合いの変化が激しく、シワにもなるので要注意です。
キュプラは水に弱く、更に少々値が張るため、一般的には合成繊維のポリエステルを使用することが多いです。M2PLANTでも標準の裏地はポリエステルになります。

裏地が多彩とはいっても、ほとんどのスーツは表地と同系色の裏地が付いています。せっかく多彩な裏地があるのに不思議ですが、これには深い理由があります。
スーツの裏地はオーバーロック(縫い代の端がほつれないように縁かがり縫いをすること)をかけていません。オーバーロックをしなくても全く問題がないわけですが、時々裏地の繊維が表地から出てきます。これが同系色なら裏地か表地か区別が付きにくいだけでなく、裏地の繊維が出てきていることすら気付きにくくなります。
言い換えると、表地と全く違う色の裏地を付けると、表地から繊維が出てきた場合に目立ってしまうということです。
ただ、裏地の繊維が表地から出てくるのは、単にオーバーロックしていないからではなく、人によって大きな差があると言われる静電気や表地の素材、繊維の堅さなど様々な原因があるため、一概に裏地が「出てくる」とも「出てこない」とも言えません。

もし、裏地が出てくるようであれば、市販されている「帯電防止スプレー」をかけ(必ず目立たない箇所で変色等がないことを確認してください)、表地と裏地を剥がすように引っ張ってください。また、出てきている繊維は引き抜くのではなく、切るようにしてください。

柄裏地はこのように少々リスクはありますが、それでもスーツの雰囲気を変えてしまう隠れたこだわりです。M2PLANTではキュプラの縞裏地が大好評です。
リスクがあるので強くはお勧めしませんが、一度チャレンジされてはいかがです?

メンズ&レディース オーダースーツ専門店 M2PLANT

 

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