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お客様にスーツのデザインを選んでいただいている最中ステッチの説明をする時にが首を横に傾げ、
『何それ?』
『どれがいいの?』
『わからん!』
オーダースーツが初めての方は、ほぼこういった回答です。
ステッチというのは、単純にジャケットの衿縁から裾にかけてのミシン縫いのことです。(胸ポケットや腰ポケットの縁にも入ります)
ご存じないのも当然で、標準のスーツスタイルにはステッチは入っていないものなのです。
ステッチを入れる利点は装飾性が第一で、次にラペルの強度を高めます。
スーツがくたびれてくると、ラペルが膨れあがってくるケースがあり、それを抑える実用的な面も強いです。
M2PLANTではステッチのチョイスが5つあり、衿縁から2㎜幅、5㎜幅、7㎜幅のミシンステッチ、ステッチが2㎜幅と8㎜幅の2本入ったダブルステッチ、手縫い風のAMFがあります。
幅によって印象が違い、例えば2㎜ステッチで仕上げると上品な顔になります。逆に幅の広い7㎜ステッチはアイヴィー調の顔になります。
あと、最近人気のあるAMFステッチは通常のミシン縫いではなく、手縫い風で仕上げるステッチで、気品ある高級仕立てです。
ちなみにAMFとはアメリカン・マシン・ファウンドリー社の通称で、ボウリングのレーンや機器なども製造しているアメリカの機械製作所のことです。
生地自体の柄や織り方によって、ステッチの目立ち方、はえ方も変わってきます。
選び方のコツは、柄がはっきり入っているものはAMFや2㎜、無地や柄の少ないものは5㎜や7㎜ステッチを入れてもらえれば華やかな印象になります。
メンズ&レディース オーダースーツ専門店 M2PLANT
若い方をターゲットにしているお店は特に細く、股上もものすごく浅いのが現状のようです。
お尻や脚のラインがはっきりとでて、足長効果もありM2PLANTのショップでも大変人気があります。
このようにノータックで騒がれてるなか、私はあえてツータックのパンツをおすすめしたいと思います。
ツータックといえば、『太い』『オヤジくさい』『流行ではない』などが若い方から嫌われる理由のようです。
確かに今とは正反対のスタイルなので敬遠するのも当然です。
しかしスーツの標準は?
と問われた時、ツータックがもっともクラシックなスタイルなので、はやりすたりのないスーツや礼服などをご希望の場合は、ツータックをおすすめしています。
もともとのスーツスタイルは身体に合わせて上から下まで自然な流れで構成されていて、パンツもそうです。
人の身体の特徴はウエスト部分が一番細く、お尻廻りが一番大きいのが一般的で、実際にJIS規格で使われる標準体型で14cm(腰-尻)の差があります。
つまり上から下まで自然な流れを作るのにノータックでは身体のラインを強調しすぎるのです。
この大きなギャップを埋めるのに打ってつけなのがタックというわけです。
左右2本づつ入るタックはシンプルなパンツをエレガントにし、足元のバランスを引き締め、全体の安定感をあたえ、まさにジェントルマンのためのパンツといえます。
ツータックは楽だから履くのではなく、かっこよさ、男らしさを強調するために身に着けるものです。
ノータックも良いですが、一度試されても損はしませんよ。
メンズ&レディース オーダースーツ専門店 M2PLANT
パンツの裾には、シングルとダブルカフの2通りのスタイルが大半です。パンツの裾を折り返すダブルカフには
「ほー、なるほど」
という理由がありました。
折り返しの呼び方は国によってかわり、イギリスではターンナップ、アメリカではカフス、日本ではダブルカフと「かぶら」などと呼びます。
この「かぶら」ですが、ある外国人が言った誤解から生まれました。
Turn Up(ターンナップ)と呼んでいるのを聞き覚え、後で辞書を使って調べると、Turnip(ターニップ)「かぶら」とありました。この聞き間違いから、広がっていったといわれています。
その日はあいにくの大雨と、当時の移動手段は馬車であったため、中には遅れてくる人達もいました。
トップハット(シルクハット)にステッキを持ち、チェスターフィールドコートスタイルで、パンツは裾は折り返し。遅れてきたイギリス紳士達に注目が集まりました。
お洒落にはうるさいイギリス人の着こなしで、パンツの裾が折り返されている。これを見たアメリカ紳士は、”パンツの裾を折り返すことがお洒落”と解釈したようです。
大雨のせいで、パンツが汚れることを避けるために、折り返したという誤解が招いたできごとです。
この偶然のできごとから、アメリカからいっきに流行し、20世紀のさまざまなスーツスタイルで適用されたといわれています。
現在のスーツ生地は、昔のしっかりとした重みのある生地は少なく、繊細な糸の細い生地が使われることが多くなりました。ダブルカフで、折り返しをつけることにより重量感が加わり、靴とのバランスは安定されます。
折り返しの巾は、3.5~4cm程度です。その範囲を超えると、バランスをくずす恐れがあるので気をつけましょう。
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最も古いボタンの原型は、エジプト・ギリシャ・ペルシャで発掘され、これらは紀元前4000年のものといわれています。
古代人がまとった毛皮をとめた骨や角、貝や皮革、椰子の実などは、飾ったり留めたりと、現代の釦と全く同じ役割を持っていました。
スーツの付属品で唯一突起があるのは釦だけです。テーラードスタイルでさりげなく存在感を出す釦は、実用性だけでなくアクセサリーとしても解釈できます。
ただ実用性だけを考えれば、ジッパーでも問題ないという訳です。
中世ヨーロッパの宮廷服には、フロント釦だけで30個以上は使われていたといいます。この頃は装飾用として使われることが多く、素材の種類や材質、デザインによって地位を象徴していたようです。
釦はフロントだけでなく、袖にも付いています。
袖釦は飾り釦にすることが多いですが、実際に外すことができる本切羽(本開き)にすることもできます。
本切羽は手を洗う際に袖が巻くれるようにしたものです。発祥は英国でやはり乗馬にたどり着きます。
「オーダーは本切羽が当たり前」と思っている人も多いようですが、デザイン的にはセンターベントにするのと変わりありません。ただ、ワンポイントのデザインとしてはオススメです。
その後、「ビジネススーツに華美な装飾はいらない」ということでネリ釦が大量に生産され、装飾要素が少なくなり、現在のようなスーツ生地と同系色の釦が付くことが多くなりました。
釦は色や形状、素材でスーツ全体のイメージを左右する重要なポイントです。
天然物なので同じ色柄は揃いませんが、本水牛釦は存在感があってスーツ全体が引き締まります。
この次はぜひぜひ、本水牛釦をご指名下さい。 メンズ&レディース オーダースーツ専門店 M2PLANT
その昔、「唐獅子牡丹」とか「龍虎」とか、学ランの裏地はステータスの一つでしたよね。実はスーツの裏地も色々と選べたりします。
さすがにビジネスで「龍虎」は無理ですが、チェック柄やストライプ柄、花柄や小紋柄など、色柄は表地と同じくらい多彩です。
同じ再生繊維のレーヨン(こちらは木材パルプが主原料)に比べ、引っ張りや摩耗などの耐久性に優れているため、裏地に適しているわけです。
ただ、キュプラは「水」に濡れると非常に弱く、縮みや風合いの変化が激しく、シワにもなるので要注意です。
キュプラは水に弱く、更に少々値が張るため、一般的には合成繊維のポリエステルを使用することが多いです。M2PLANTでも標準の裏地はポリエステルになります。
裏地が多彩とはいっても、ほとんどのスーツは表地と同系色の裏地が付いています。せっかく多彩な裏地があるのに不思議ですが、これには深い理由があります。
スーツの裏地はオーバーロック(縫い代の端がほつれないように縁かがり縫いをすること)をかけていません。オーバーロックをしなくても全く問題がないわけですが、時々裏地の繊維が表地から出てきます。これが同系色なら裏地か表地か区別が付きにくいだけでなく、裏地の繊維が出てきていることすら気付きにくくなります。
言い換えると、表地と全く違う色の裏地を付けると、表地から繊維が出てきた場合に目立ってしまうということです。
ただ、裏地の繊維が表地から出てくるのは、単にオーバーロックしていないからではなく、人によって大きな差があると言われる静電気や表地の素材、繊維の堅さなど様々な原因があるため、一概に裏地が「出てくる」とも「出てこない」とも言えません。
もし、裏地が出てくるようであれば、市販されている「帯電防止スプレー」をかけ(必ず目立たない箇所で変色等がないことを確認してください)、表地と裏地を剥がすように引っ張ってください。また、出てきている繊維は引き抜くのではなく、切るようにしてください。
柄裏地はこのように少々リスクはありますが、それでもスーツの雰囲気を変えてしまう隠れたこだわりです。M2PLANTではキュプラの縞裏地が大好評です。
リスクがあるので強くはお勧めしませんが、一度チャレンジされてはいかがです?
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